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■<11月コラム>36協定とは?役員運転手は36協定の例外措置を受けられるか?
36協定とはどのようなものかご存じですか。名前を聞いたことはあっても具体的な内容は知らないという人も多いのではないでしょうか。また、自動車運転業務に関しては一部例外的措置が取られているため、役員運転手を雇用する立場の人はそれについても知っておかなければなりません。そこで、本記事では36協定についての概要を説明したのちに、36協定における時間外労働の扱いについてさらに詳しく解説していきます。
1.36協定とは
日本では労働基準法により、雇用主は労働者に対して1日8時間あるいは1週間で40時間以上働かせてはならないと定められています。しかし、現実には仕事の性質上、どうしてもそれ以上働いてもらわなければならないといったケースも出てきます。その場合は雇用主と労働者の代表との間で「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結したうえで、最寄りの労働基準監督署に届けなければなりません。そして、これを36協定といいます。逆に言えば、自社では労働基準法の上限を超過しての残業や休日出勤などは一切させていないというのであれば、36協定を締結する必要はないという話になります。その代わり、届け出を提出しないで、うっかり時間外労働や休日出勤を指示した場合は労働基準法違反となるので注意が必要です。一方、会社の重役・団体の役員・市町村役場や議会の幹部などを顧客とするハイヤー運転手においては、1日8時間あるいは1週間で40時間以内という労働時間の制限は適用されず、協定の締結なしでより長時間の労働を課すことが可能となります。なぜなら、重役や役員といった人たちは立場上、どうしても長時間車を利用し続けなければならないケースがでてくるからです。ただ、その場合でも、無制限に時間外労働を課してよいというわけではなく、1カ月50時間、3カ月140時間、1年450時間の範囲内で収められるように努める必要があります。
2.時間外労働の上限規制とは
たとえ、36協定を締結したとしても時間外労働を無制限に課せるわけではなく、当然のことながら、上限が設けられています。しかし、この上限も一定の範囲内であれば、特別条項を用いて延長することができます。ちなみに、以前は繁忙期などの理由があれば、特別条項を用いることで上限の完全撤廃が可能でした。しかし、この制度の存在は長きにわたって、長時間残業の温床になってきたのです。そこで、働き方革命においては全面的な見直しが行われ、「1カ月に45時間を超える回数は6回まで」「1年の上限は720時間以内」「1カ月は100時間未満」「2~6カ月の平均をすべて80時間以内に収めなくてはいけない」といった具合に、特別条項に制限をかけています。ただし、自動車の運転業務における上限規定は上記よりも緩やかなものとなっており、特別条項を用いた際の時間外労働の上限は年間960時間以内であり、月の上限は設けられていません。そのうえ、法改正施行後、すぐにそれを実施する必要はなく、5年以内に変更すればよいとしています。
3.36協定における自動車運転業務とは
36協定において自動車の運転業務は例外的措置がとられています。しかし、ここで問題なのは自動車の運転業務とは具体的にどの範囲までを指すのかといった問題です。その点をきちんと押さえていなければ、自覚のないまま基本労働法違反をしていたということにもなりかねません。たとえば、営業で1日中車に乗っている人がいたとしましょう。しかし、この場合の業務はあくまでも営業であり、車の運転はそのための移動手段にすぎません。自動車運転業務というのは自分以外の人間や物を運ぶことが前提となっており、運転自体が主な業務でなければならないのです。具体的には労働時間の半分以上が運転業務でなければならないとされています。逆にいえば、仕分け作業や詰め込み作業が大部分を占めており、残りのわずかな時間で荷物を積んだ車を運転しても、それだけでは自動車の運転業とはいえないわけです。
法律に沿った労働時間を設定しよう
仕事の性質上、役員運転手の労働時間は不規則になりがちで、雇用する側は労働基準法に違反していないように気をつけなければなりません。しかも、働き方革命が推進されているため、今後も労働時間に関わる制限は変更される可能性があります。つまり、チェックを怠っていると、いつの間にか法律違反をしていたということにもなりかねないのです。法律順守を心掛け、罰則を受けないように気をつけましょう。
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